ふわふわソース

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カレーが食べたくて会社を辞めるのをやめた話

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港区, 東京都

 四捨五入したら10年くらい前のことだと思うのだけれど、その頃、浜松町にある会社で働いていた。仕事は終わらないし、同僚はどんどん辞めるしで、精神的にも肉体的にもキツかった。みんないなくなっちゃうし、私も会社を辞めたい……。そんなことを考えながらとりあえず毎日会社には通っていた。

会社を辞めるにしても次の仕事がみつからないと辞められない、でも仕事が忙しいのに就職活動なんてできない、と思いながら悶々とする毎日。そんな頃にランチでよく行っていたのが「ザ・カリ」というカウンターだけのカレーのお店。

このお店は行列ができることもある人気店。おしゃべりが禁止なわけではなく、常連さんも多いけど、みんなカレーを食べてはさっさと出て行くので回転は速かったな。

店内にはインドの写真や人形が飾ってはあったけれど、雰囲気を壊すようなものはない。お皿や伝票を押さえておく小さな陶器の置き物なども統一感があった。お店の外観もシック。お店の方の美意識が貫かれているのがわかる。例えば風景の写真を撮るときなど、その風景にそぐわない人工物をフレームから外すことがあるけど、このお店ならどこをどう撮ってもいいかんじに写りそうだった。

スーツを着ていない男性のお客さんが多いのも印象的だった。クールビズが始まって、今ではすっかりカジュアル化が進んでいるけれど、あの頃はまだスーツのサラリーマンが多かった。ビジネスカジュアルを着こなすおじさまたちをみて、こういう人たちのいる会社もあるのかと新鮮だった。実際はどうなのかわからないけれど、このお店のお客さんは目達!とかパワハラとか、そういうものとは無縁に見えた。

カレーも美味しいし、お店の雰囲気もいいし、通っているお客さんもなんだかいい。だから毎日のように通っていたのだけれど、このお店は平日ランチの時間帯のみの営業。転職して浜松町から離れてしまったら、このお店にはもう来られなくなると考えると、退職に踏み切れなかった。そして、このお店のカレーを食べたい、という一心で毎日会社に行っていたら、いつの間にか仕事が辛い時期は終わり、その会社を辞めたいという気持ちはとりあえず晴れた。

「ザ・カリ」は12時頃が一番混んでいたけれど、たまに仕事がずれ込んで14時くらいにお店に行くことがあった。お客さんが他にいなくて、ひとりでカレーを食べられることもあった。そんなときはすごく贅沢な気分だったな〜。

ぐるなびお題「思い出のレストラン」
http://blog.hatena.ne.jp/-/campaign/gnavi201503